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バスにひかれた私のBLOG

痛みで得たもの

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痛い。痛い痛い痛い痛い痛い。
痒い。痒い痒い痒い痒い痒い。

植皮。
つまり、皮膚移植した後。
皮膚がきっちりとつくかつかないか。
成功するか否か。
それが判断できるまで、約1週間を要する。

その間、私が耐えねばならないことは
ベットに寝たきりで動けないこと。
それが1番しんどいことだと思ってた。
結果がどうでるのか。
それは、別として。

が。
想像以上にきつかったのは
動けないことだけではなかった。
いや、むしろ。
こちらのほうが大変だったかもしれない。

左足太ももの皮膚。
上側前面を、広範囲ではいだ。
足のつけねから、膝のちょい上くらいまでそいだ。
数ミリの厚さで、らしい。
なんとゆうか、大工サンが使う道具のようなもので
ガーっと、そいでいくらしい。

「アスファルトで転んですった」
そんな感じのものが、前面に跡として残ります。
そう説明された。
跡なんて、どうでもいい。
この際、傷の全てが私の勲章なのだ。
闘った、武勇伝としての記念なのだ。
今更、傷の大きさや深さで、なげく年齢でもあるまい。

けれど。
かなりの広範囲に傷を作ってしまったために
そこから熱が出てしまった。

術後、翌日。
夕食の時間に、ベットを起こすことになった。
植皮箇所がずれると困るので
ほんの少しだけ、起こすことになった。

看護士さんが、少しずつベットをあげてゆく。
はあ。
久々に、背中が楽になった気がする。
呼吸も深くできる気がする。
なんだか、心地よかった。

が、次のその瞬間。
急に、なんともいえない激痛が太ももつけねに走った。
痛い。
たまらなく痛い。
これはなんなのだ。

そして。
そいだ太ももが、少しでも何かによって擦れると
こんなにも激痛に襲われるのだと知った。
また、激痛だけには終わらず。
そこから発熱してしまった。

幸いなことに、感染ではなかったけれど
39度の高熱に襲われた。
けれど、数日後。
太ももを氷で冷やしていると
熱が一気に下がることに気づいた。
しかも、痛みが半減することにも。

アイスノンを2つ重ね
タオルで固定した。

そしてその後。
傷が治りかかってくると
恐ろしいほどの痒みがやってきた。

寝ている間に、無意識にかいてしまい
朝、血だらけになってしまうこともあった。
これも氷で対処したけれど
人間、痛みより痒みが辛い。
この言葉を、なんとなく理解できた私がいた。

高熱が下がらなかった時。
痛みも強烈だった時。
看護士にこう言われた。

あげたまちゃんが我慢強いことは、皆わかってる。
でも、我慢するにもほどがある。
病院には、薬とゆうものがあるんだよ。
痛みをとる薬で、楽になる方法がいくつもある。
注射をうって、薬を飲みなさい。
それで楽になるのなら、いくらでも薬を使いなさい。
あなたの痛みは、普通の痛みなんかじゃない。
薬は、あなたのような人の為にあるものなの。
これ以上、我慢なんかしないで。
そして、早く楽になっていつもの元気を取り戻しなさい。
あげたまちゃんが辛いと
この病室全部が辛いものになる。
あなたは、この病室の太陽なのよ。
皆が、あなたの回復を待っているの。
皆が、太陽が出るのを待っているの。
早く、元気になりなさい。
あなたには、その義務があるのよ。

看護士さんの言葉は、私の心に大きく響いた。
とても親しくしていた彼女の言葉。
涙を浮かべて、私に発したこの言葉。

私は、我慢するのをやめた。
時に、我慢を放棄することも必要だと知った。
ベットに横たわっていた私の耳に
皆の声がきこえた。

私の元気な姿がみたい。
私の元気な声がききたい。
そう言ってくれた。

命と向き合って闘っているひと達が
私のことを待っていてくれた。
そんなひと達が
私を必要だと言ってくれた。

私は何をやっているのだ。
こんなところで、へこたれている場合なんかじゃない。
そんな暇なんか、私にはなかったんだ。
こんな痛み、すぐに吹きとばそう。
こんな痛み、すぐに吹きとばしてやろう。

大きな傷と痛み。
でもそれと引き換えに
私は、大きな大きなものを得た。
きっとそれは、今も残る傷とともに
私の心に刻まれ続ける。
by akiaki2u | 2008-03-15 18:16
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バスにひかれた元バスガイド 復活迄の日々と今を綴ります