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バスにひかれた私のBLOG

大丈夫

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「大丈夫」

私は、何度も何度もこの言葉を繰り返した。
何が何だかわからないけれど、でも、私は大丈夫。
事故現場でも、救急車でも、救命センターでも。
ドライバーにもガイドにも親にも友人にも彼氏にも医師にも看護士にも。
とにかく、運ばれて、手術を受けて覚醒するまで。
私は、この言葉を吐き続けた。

「私は大丈夫」。
本当にそう思っていたし、また、自分で自分にも言いきかせていた。
決して強がりなんかじゃない。
そうしないといけない、そう思っていたわけでもない。
強く、そう思っていたのだ。単純に。

けれど。
術後の経過、術後の自分、術後の周りの対応や環境。
そういったものを受け止めてゆくうちに、言えなくなった。
「大丈夫」とは言えない自分がいた。
だって、大丈夫じゃなかったから。

とはいえ、大丈夫じゃないかといえば、それとも違う。
不安や辛さや悲しさや悔しさ。
そういったもので押しつぶされそうになっていたかといえば
それもまた違う。

要するに、その一瞬しか考えなくなった。
その時すべきこと、その時考えなくてはいけないこと。
それしか脳裏に浮かばなくなったのだ。
多分、もともとの私の性質だとは思うのだけれど
さらにその部分が加速したと思える。

足は大丈夫じゃない。明らかにヤバイのだ。
けれど、私のハートは以外にもヤバイ域には入らなかった。
今の足は大丈夫なんかじゃない。
でも、明日はどうだ。あさってはどうだ。
良くなるかもしれない、悪くなるかもしれない。
確かに、悪くなる可能性が大きいのだろう。
でも、だけど。やっぱり先のことは誰にもわからない。
大丈夫じゃなかったら。そう考えて、今の自分までもが大丈夫ではなくなる。
それは避けたい。避けなくてはいけない。

ならば、今、この時のことだけをみていよう。みていこう。
大丈夫じゃないとか、大丈夫だとか。
そんな言葉は、今の私には無意味なのだ。

そして私は、生活する人生ではなく
生きる人生を送りたいと、強く思ったのである。
by akiaki2u | 2007-08-04 14:26 | 受傷
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バスにひかれた元バスガイド 復活迄の日々と今を綴ります