事故について その3何度も何度も叫んだ。運転手の名前を、何度も叫んだ。 けれど、バスはバックし続けた。 とうとう、大きなタイヤが私の足を踏み、そして乗り越えた。 意識がはっきりしていた私の心臓と脳みそは、今まで感じたことのないものになっていた。 そして。 やっと、バスが止まったのは、運転手が「何か缶でも踏んだかな」。 そう思って、一応確認しようとしたから、らしい。 つまり、私の足を空き缶か何かだと思ったようだ。 後日、他の運転手達が言っていた。「ねずみがタイヤに絡んでも違和感があるのに」と。 今言っても遅い話だが、ここまで気がつかなかったことが不思議でならない。 しかし、事故というのは、そうゆうものなのかもしれない。 それで済む問題じゃないけど、全然。 のらりくらりとバスから降りてきた運転手が、私の名前を叫んだと同時に。 私の耳には、たくさんの悲鳴がきこえてきた。 いったい、この数分の間に何が起こったのだろうか。 ほんのついさっき、私は普通に歩いていたのだ。 こんなことになるなんて、こんなことが待っているなんて、 0,1%も想像していなかった。 今、私はどうなっているのだろう。 誰かが、私をバスから少しひきずりだし、身体を上に向かせてくれた。 私の視界には、広い曇り空が広がった。 ポツポツと、雨が顔にあたる。 もしかしたら、私の足はついていないのではないだろうか。 痛みなどとゆう範囲を超えた、たとえようのないものが襲ってきた。 ここから私の闘いが始まり、新しい人生への幕開けが始まったのだ。
by akiaki2u
| 2007-07-10 14:01
| 受傷
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