バスにひかれた私のBLOG

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復活の日その3

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「オギー。これ、きくような気がする」
「じゃ、やってみようか」
「オギー。こんな動きはどうかな」
「じゃ、こうゆう感じでやってみよう」

動かない足。
感覚のない足。
動かないといわれた足。

何がどうどこにきくかなんてわからない。
それ以前に、それが意味のあるリハビリなのかさえも
わからない。
けれど、私の内部のどこかが反応した時の申告に
オギーは反論しなかった。
身体のしくみ、筋肉や筋や腱の動きを考えて
何かしらの指導をしてくれた。

かたくなった膝を動かす時、毎回吐き気がした。
なまりのように重たい足を、太腿やお尻の筋肉で持ち上げる。
とても難しかった。
だけど、リハビリ室にいる時は、私が私でいられた。

結果はどうなるかはわからない。
いや、むしろ良い方向にゆく可能性なんて殆どない。
だけど、この部屋にいる時だけは、前に進めている気がした。
何かに向かっている自分がいるだけで
今までの毎日とは、確実に違っていたんだ。

いつしか、私とオギーの間には
患者と医学療法士とゆう境がなくなっていた。
頑張ってくれているオギーの為にも
私は、絶対に結果をだしたかった。
私が私に、そしてオギーに。

エレベーターに乗っている間。
数分だったのか、数十秒だったのか。
私にとっては、長い長い間だった。
早く、早く知らせたい。
2階に着いて扉が開いた瞬間。
私は、これ以上ないとゆうくらいにダッシュした。
ゆっくり歩いている人達が多い廊下を
「どいて!!」と声を出しながらダッシュした。

そして、つきあたりを曲がり、いつものリハビリ室の入口。
さっき。ほんの数時間前に、ここを出た時には
こんな気持ちでここに戻ってくるなんて
1ミリも思っていなかった。

なぜだかわからない。
でも、この入口がみえたとたん
私はダッシュできなくなった。
深呼吸して、息をのんで、そしてゆっくり進んだ。
いつもの空間なのに、まるで違う眺めだった。

オギーは、違う患者さんの指導をしていた。
私がいることに気がついた助手さんが
「あれ。あげたまちゃん、どうしたー?」と声をかけてくれたけど
私はそれに応えることができない。
ただ黙って、オギーが気づくのを待つしか出来ない。

助手さんが「先生。あげたまちゃんがきてますよ」と
大きい声をあげてくれた。
オギーが「あれー。なんかあったのー?」と言いながら
私のほうへ歩いてきた。

もうダメだった。
涙が出てくるのはこらえたけれど、それだけでいっぱいいっぱい。
その私の顔をみて、オギーの表情がくもり
不安そうな顔になってしまった。
違う。オギー、違うんだよ。

「オギーあのね...」
「どうしたの!?」
「足...足首がね...」
「なにかあった!?」
「あのね..........動いた...」

一瞬、何が起こったのかわからない表情になったオギー。
その後、私以上に泣いたオギーがそこにいた。

気づけば、助手さんも泣いていた。
事情を知ったほかの患者さんが、拍手してくれた。

私は、本当に幸せ者だと思う。
私の為に、泣いてくれるひとがいるのだ。
私の為に、一生懸命になってくれたひとがいるのだ。
私に、気持ちをくれたひとがいるのだ。
これ以上、何かを望んだらバチがあたる。

一緒に闘ってくれたひとがオギーじゃなかったら。
担当医師があの先生じゃなかったら。
看護士さん達があんなんじゃなかったら。
なにかひとつでも歯車が狂っていたら
今の私はない。

この先、大変なことはたくさんあるかもしれないけれど
ここに結果を出せたこと。
何かに無心になることが無駄じゃないってこと。
ひとから気持ちをもらったこと。
私の為に泣いてくれたこと。

それがあるから、きっと私は大丈夫。
この日の全て。
私は一生、忘れない。
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by akiaki2u | 2008-06-27 11:10 | 入院生活

復活の日その2

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ほんの少し前。

私は、装具をつけて自分の足で進んだ。
その姿は、かつての。
そう、数ヶ月前の私とは、まるで違う姿。
けれど、確かに前へ進むことができた。

この時。
正直、ある程度満足している私がいた。
嬉しくて嬉しくて嬉しくて。
自分なりに頑張った結果
ここまでこれたとゆうことが
とてつもなく嬉しかった。
もう、こんな嬉しいことなんて
きっとないんじゃないか。そう思ってた。

だけど。

病室で、ひとしきり泣いた私は
そばにあった松葉杖を手にとった。

オギーだ。
このことを1番先に告げなくてはいけないひと。
それはオギー。

「どこにいくの、あげたまちゃん!!」
「リハビリ室!!」
気づけば私は、廊下を松葉杖で猛ダッシュしていた。
本当は、車椅子で行ったほうが早かったと思う。
けれど、私は私だけの力で
これをオギーに伝えに行きたかった。

私のいた病室は10階。
エレベーターのボタンを押した。
理学療法室は2階。

なかなかこないエレベーター。
待っている時間が、普段の倍に思えた。
もしできるのならば。
階段をいっきに駆け下りたい。
そして、1分でも。いや、1秒でも早く
この事実をオギーに伝えたい。
伝えなくてはいけないんだ。

あれは。
私の足が切断を免れた時。
そして、2度と自分の足で歩けないと言われた日。
オギーが病室へやってきた。

どうしてもリハビリがしたいとゆう私の願いを
医師は受け入れてくれた。
動かせる部分だけでいい。
どうか、私を前に進ませて欲しい。
結果は、今はどうでもいい。
やれることをやらせて欲しい。
その私の願いを、主治医は容認してくれた。
他の先生の反対を押し切って。

そして。
オギーがやってきた。
私とオギーの、初めての出会い。

「あげたまさん。先生からきいているんですよね」
「はい、きいてます」
「どうきいてます?」
「自分の力では歩けないと言われました」
「そうですか...。そこは受け止められているんですよね?」
「はい。すごく受け止めています。でも、絶対に歩きます」
「あの。歩けないと言われてもですか?」
「はい。そこはわかってますけど、まだ私は何もやっていないので」

私は、できるだけ手短に。
できるだけ的確に、自分の考えを伝えた。
もう歩けないのは本当にわかってる。
だけど、歩きたい。
絶対に歩いてみせる。
今はそのことだけを考えて、やっていきたい。
そう伝えた。

そして、オギーはそれを理解してくれた。
もちろん彼女も、歩けないだろうとゆう事実は知っているし
医学的にも「歩けないだろう」と思っていた。

だけど、私と話しをしているうちに。
「このひとだったら歩いてしまうかもしれない」
「このひとだったら歩くんじゃないか」
そして最後には。
「いや、私が歩かせてみせる」
そう思ってくれたんだ。

それから。
私オギーの日々が始まった。
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by akiaki2u | 2008-06-25 03:49 | 入院生活

復活の日

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絶対。
私は絶対、あの日のことを忘れない。
そして、忘れちゃいけない。
ある意味、あれが私のスタートでもあったのだから。

事故にあって1番強く思ったこと。
それは、大きなものを失ってしまった私ではなく
新しくスタートした私だとゆうことだ。

もう、健康な足は戻ってはこない。
過去を振り返るのはやめよう。
だけど、それまでの私があるから今の私がある。
だから、違うスタート地点に立ったのだと思えばいい。
そう、考えた。
違う足を手にいれたんだ。
人生の道を踏み外したのではなくて
新しい道ができたのだ。
そう思うことにした。

正しいのかどうかなんてわからない。
けれど、それが私の出した答えだった。
そして、その答えに結びつく、大きな大きな出来事だった。

あれは。
まだ、1日に1時間だけ。
リハビリをのぞき、1時間だけベットを降りてよい規制があった頃。
午後の検温で、看護士さんが病室へやってきた。

窓際のベットにいた私のところへは
いつも看護士さんが、最後にまわってきた。
あの日の看護士さんはくどうちゃんで、私の担当ナース。
珍しく時間に余裕があったようで、あーでもないこーでもない。
たわいもない話をしてた。

で、くどうちゃんが。
「ねえ。あげたまちゃんさ、運転はどうする?」そうきいてきた。
「もちろんするよー!!」。
私の不自由は足は、ラッキーなことに左足。
車はオートマだから、運転にはさほど問題はないのだ。

「じゃ~さ~左足はどうやって運転する~?」と、くどうちゃん。
つまり、運転に問題はないけれど。
でも、足首が90度に曲がっていないとか
うっ血するとか、だるいとか、むくむとか。
様々な問題があるけど、どんな体勢で運転するかってことだ。

「う~ん...こんな感じかな~」
そうやって、私はベットの脇にすわり
両足を床にむけて、だらんと下げた。

と、その時。

一瞬、呼吸がとまったような感覚に陥った。
足をさげたその瞬間、なんだか冷たいものが
足にスーっと流れたような。
いや、実際そんなことがあるわけはないんだけど
なんとゆうか。血管の中を、氷水が流れていったような。
どこかが軽くなったような。そんな感覚が走った。

と、同時に。

私の中に、「もしかしたら」とゆう感情がわいた。
もしかしてもしかしてもしかして。
いや、違う。あるわけない。そんなこと、絶対にあるわけがない。
けど、だけど。

多分その時間は数秒で、でも、その短い間に
いっきに色々なことを考えた。
その様子をみて、くどうちゃんが「どうしたの!?あげたまちゃん!?」と。

どうしよう。口にだすのがこわい。
もし、間違いだったら。
でも、リアルだったら。
どうしよう。くどうちゃん、どうしよう。
けれど。大きく深呼吸をして、勇気をだして声にしてみた。

「くどうちゃん.......もしかしたら.......」
「もしかしたら!?」
「今.......私の足.......」

ここまで言って、心臓がバクバクしてきた。
そして、今度は息をのみこんで、言葉にした。

「くどうちゃん........私の足、動いたかもしれない........」

くどうちゃんは、何がなんだかわからない顔をしてた。
その会話が、みんなの耳にもきこえたみたいで
病室中が静まり返ってしまった。

「あげたまちゃん、ほんとう?もう1回やってみて!!動かしてみて!!」

くどうちゃんはそう言った。だけど、動かすって言われても
なにをどうしていいのか、さっぱりわからない。
だけど、ゆっくり。
そう、ゆっくり考えながらやってみた。
まともな右足の動きを真似しながら、ゆっくりやってみた。

まず、お尻に力を入れた。
そして、膝をおさえて。
太腿の裏の筋肉に力を入れて。
そーっとそーっと、足首にむかって力をいれてみた。
私の背中に、みんなの視線がささってた。

最後に、せーのと、心で掛け声をかけた。

そして。
私の目には、もう涙しかなかった。
くどうちゃんの顔が、涙で全然見えなくなった。
そして。やっと、声を出すことができた。

「動いたよね.............?」

その瞬間、くどうちゃんの叫び声とみんなの声が
病室中に響き渡った。
その声は、今でもずっと耳に残ってる。

けれど私は、声が出なかった。
その動きは、数ミリ。
角度にしたら、角度さえ入らない動きかもしれない。
だけど、確かに。
私の足首が、私の力で動いた。
動いたんだ。

現実は受け止めた。
受け止めたうえで、必死にやろうと決めた。
もし、やってもやってもダメなら
その時にまた、考えようと思った。
歩きたい。動きたい。
そのことだけを考えて、邪念を振り払った。
たとえ動かなかったとしても
「ここまでやったんだから」と思える自分。
そこに到達できるように、朝も昼も夜も夜中も。

そして、そんな私に。
先生も、看護士さんも、リハビリも。
みんながみんな、力をかしてくれたんだ。

ダメかもしれないと、何度も何度も思った。
足が残っただけでもいいと思ってた。
だけどやっぱり、時々、いいようのない感情もあった。

でも今。
私の足は、間違いなく動いた。
もう98%ダメだと言われた足が。
その足が、動いたんだ。

みんなが喜んでくれるそばで
私はベットに埋もれて泣いた。
枕を抱いて、そこに顔を埋めて泣いた。

みんなの前では、絶対に泣かないと決めていた。
泣いても、周りは困るだけ。
はれものに触れるようにされるだけ。
そこに、何も答えなくて
解決の糸口はない。

だから、泣きたい時には
「泣いてくる!!」と、宣言をして、霊安室ロビーに行った。
誰もこないからだ。
そこで、声をあげて泣いた。
目が大きく腫れるまで泣いた。
そうやって、処理したんだ。

だけど、今日は違う。
悲しい涙や、怒りの涙はみせないと誓ったけれど
嬉しい涙はいいよね。
みせたっていいよね。
隠すことなんて、ないよね。

ありがとう。
みんなに、ありがとう。
私に関わってくれたひとみんなに
心からありがとうと思った。
私だけの力では、ここにはこられなかったと思う。

そして。
私は、松葉杖を手にとって。
リハビリ室にダッシュした。
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by akiaki2u | 2008-06-24 13:45 | 入院生活

怒り

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「なめられてんじゃないの」
「もっと言ってやったほうがいい」
「なんで怒らないのよ」

そう言うひとが、たくさんいた。
わかってる。
言われなくてもわかってる。
私だって、言えたらどんなに楽かと思う。
ぶつけるところがあれば、少しかは楽になれると思う。

だけど。

その感情をぶつけると、もっともっと怒りが増す。
もっともっと、やりきれない思いが大きくなる。
辛い。そっちのほうが辛いんだ。

言いたいのに。
ぶつけたいのに。
だけど、我慢しなくてはならない私の今。
みんなに理解してくれとは言わないけれど
私のことを思っての言葉なのはわかっているけれど。

でも、周りにそう言われるたびに
なにか悲しくなった。心が重たくなった。

できるだけ客観的に、自分の状況をみた。
私の個人的な感情を消して消して消しまくって。
けど、それでもやはりひどいものだったと思う。
会社の対応も、運転手の対応も
それは、事故の傷に塩をぬるかのように
傷以外の箇所にも傷をつくるかのように。
決して、悲劇のヒロイン的感情じゃない。

同じ言葉を話す者同士なのに。
同じ国で暮らす者同士なのに。
でも、何もかもが通じない。
通じるものが通じない。
だから、そこに生まれるものは
更に増長された腹立たしさだけ。
通じないひとに、何をどう訴えても通じるわけがない。

足のことを自分自身で乗り越えるために必要な心のバランス。
その大事なバランスを、大きく崩す結果しか生まれない。

だから、ある時期に達するまで。
私は、そこに感情を持つことをいっさいやめたんだ。
いつかやってくる時期。
そこに到達するまで、あの人達に対する苛立ちを
全部脳みそから排除した。
それは、小さな器の私には、簡単なことではなかったけれど
そうしなければ、足に向かっていけなかったんだ。

ひとを憎むことはしたくない。
そこには、何も生まれないからだ。

私はできた人間じゃないから
もし誰かを憎んでしまったら
何もかもを、そのひとのせいにしてしまうかもしれない。
何か不都合なことが起こるたびに
「あいつのせいだ」と思ってしまうかもしれない。
そんな格好悪い生き方はしなくない。

けれど。
怒りは捨てられない。
仮に、あの人達。
私じゃないひとが、私の立場になったとして。
その時にも、おそらく同じ対応しかしないと思う。
そこへの怒り。

もしかしたら私とゆう人間は
怒りをエネルギーにしているのかもしれない。
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by akiaki2u | 2008-06-21 23:29 | その他



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